この記事は、事業承継の準備事項を理解するための想定ケースです。実在する企業・取引を匿名化した記事ではなく、当センターの実際の成約実績を示すものでもありません。企業名、買い手の意向、売却結果を確認した案件として扱わないでください。
想定する会社と検討の出発点
鹿児島市、霧島、姶良、薩摩川内、鹿屋などを施工エリアとする建設・設備会社が、後継者不在を理由に第三者承継を検討する場面を想定します。受注中の工事、元請との関係、技術者の雇用をどう扱うかが課題、という設定です。
候補先は、施工エリアを広げたい同業や、設備工事の体制を持ちたい事業会社を想定します。許可、資格者、公共工事の参加資格をまとめて引き継げると仮定せず、それぞれの条件を確認します。実際に引継ぎが成立した案件ではありません。
許可・技術者・受注中工事を分けて確認する
| 建設業許可 | 許可業種、一般・特定、大臣・知事、有効期限、営業所、人的要件を整理します。取引方法と譲渡日を許可行政庁へ伝え、必要な認可・届出等を事前に確認します。 |
|---|---|
| 経審・入札参加資格 | 経営事項審査の結果、審査基準日、申請先、入札参加資格を別々に確認します。許可の手続だけで点数や参加資格が同じ状態で続くとは扱わず、各発注機関への確認事項をまとめます。 |
| 技術者・雇用 | 資格証、雇用関係、実務経験、営業所と現場での配置、退職予定を確認します。資格は人に属するため、人員の意向や配置可能性を確認せず会社の資産のように扱いません。 |
| 未成工事 | 工事別の契約額、進捗、原価、追加変更、前受金・未収金、完成予定、損失見込み、不具合対応を整理します。注文者への通知・承諾や契約上の地位の扱いも確認します。 |
| 協力会社・安全 | 協力会社との契約・支払条件、労災・事故、安全管理、労務手配、工具・車両の所有とリースを確認します。代表者個人の関係に頼る取引は窓口の引継ぎ方法も検討します。 |
| 地域・施工体制 | 施工エリア、現場への移動、資材調達、応援要員、工期が重なる時期を整理します。離島工事がある場合は船便、滞在、運搬費、天候による工程変更も確認します。 |
検討の進め方
相談前:希望と資料の所在を整理する
希望時期、代表者の関与期間、従業員や取引先について残したい条件を整理します。手元にある許可通知、経審結果、工事台帳などについて、確認済み・不足・不明を分け、誰に確認するかをメモします。
候補先への打診:開示する情報を絞る
初期段階では会社名や顧客名を伏せた概要を使い、候補先との秘密保持契約や検討状況に応じて開示範囲を決めます。地域、取引先、売上規模の組合せから会社が推測される可能性も考慮します。候補先とのNDAだけで、顧客等との契約上の開示制限が解消すると判断しません。
調査と条件調整:未確認点を契約前に解く
候補先が求める資料と、その必要性、閲覧者、受渡し方法を確認します。譲渡価格、対象資産・契約、雇用、許認可、引継ぎの時期や費用を調整し、未解決事項の担当者と確認期限を明確にします。情報開示や面談へ進んでも、成約や希望条件が保証されるわけではありません。
引継ぎ準備:初日からの担当を決める
工事を継続する場合は、現場の責任者、発注者窓口、協力会社への連絡、安全管理、請求と入金、不具合対応の担当を決めます。譲渡前後にまたがる工事について、どこまで完了し、誰が残作業と費用を負担するかを記録します。
価格・借入・雇用は分けて確認する
決算の利益だけでなく、工事別の採算、未成工事の損失、追加工事の請求、保証・不具合対応、車両や設備の更新費を確認します。代表者が退いた後に必要となる営業・積算・現場管理の費用も分け、受注残をそのまま利益とみなさないようにします。
提示額が株式価値、事業の対価、資産の代金のどれを示すかを確認し、借入金等が既に算定へ織り込まれている場合は同じ調整を重ねないようにします。譲渡対価と税金・費用控除後の手取りも区別します。借入、個人保証、リースは取引だけで解消すると考えず、金融機関等と必要な手続を確認します。
株式譲渡と事業譲渡では、雇用や契約を引き継ぐための確認事項が異なります。雇用条件や勤務場所、本人の意向、必要な同意・手続を確認し、資格者やキーマンが残ることを確定事項にしません。許認可や取引契約は所管窓口・契約先・専門家に確認します。
建設業許可通知、経審結果通知書、入札参加資格、資格者・配置一覧、工事台帳、未成工事一覧、協力会社契約、安全書類。最初から原本を一括送付せず、資料の有無と整理状況を共有してください。一般のお問い合わせフォームには、従業員の詳細情報や顧客との契約原本などを記載・添付せず、必要な資料の安全な受渡し方法を相談します。
譲渡企業様の費用と相談
当センターが譲渡企業様から受け取るM&A支援の相談料・着手金・中間金・成功報酬は0円です。税務・法務・登記・許認可・デューデリジェンス等の外部専門家費用、交通費その他実費は含みません。支援範囲と別途費用を契約前に確認し、免責事項・ご利用上の注意もご確認ください。
よくある質問
この記事は実際に成立したM&Aの事例ですか。
いいえ。業種固有の準備事項を説明するための想定ケースです。実在企業を匿名化したものや、当センターの成約実績ではありません。記載内容は売却価格、成約、雇用・取引の継続を保証するものではありません。
まだ売却すると決めていなくても相談できますか。
相談できます。譲渡を決める前に、希望時期、事業の状況、資料の所在、残したい条件を整理できます。未確認の数字を推測で埋める必要はありません。
従業員に知られずに検討できますか。
初期段階では開示先と情報の範囲を限定して進めますが、誰にも知られないと保証することはできません。従業員への説明や必要な手続は、取引方法と雇用方針を踏まえて時期・対象・内容を確認します。
譲渡企業様の成功報酬は0円ですか。
当センターが譲渡企業様から受け取る相談料・着手金・中間金・成功報酬は0円です。外部専門家費用、交通費その他実費などは別途生じる場合があるため、支援範囲と費用条件を確認してください。
赤字や借入がある場合も検討できますか。
相談できます。赤字や借入の理由、事業ごとの収益、使える資産、追加投資、金融機関対応を整理します。候補先が見つかるか、譲渡できるかは個別に検討するため、成立を前提にはしません。
最初の相談では何を伝えればよいですか。
業種、所在地、希望時期、現在の悩みと、許可通知、経審結果、工事台帳等の有無を分かる範囲でお伝えください。鹿児島市外や離島の事業所についても、所在地と面談方法の希望を添えてご相談ください。具体的な対応方法は個別に確認します。
自社の検討へ置き換える
この想定ケースを、自社の契約、資料、関係者の意向に置き換えて確認してください。「分かっていること」「確認先が決まっていること」「まだ不明なこと」を分けると、次の相談で確認したい内容が明確になります。
